1991 法面保護
自然に寄り添う
法面緑化工事
1991年(平成3年)、パブリック技建は法面緑化という新しい挑戦を始めた。
自然環境への深い思いから生まれた技術は、
時代とともに進化を遂げ、静岡県内の山々に緑を取り戻し続けてきた。
これは、環境保全と安全性の両立を目指す、サステナブルな探求の物語だ。
画期的な遠距離吹付技術との出会い
1991年(平成3年)8月、当社は法面緑化工事に着手した。従来の工法では作業員がロープで斜面にぶら下がって作業していたが、新たに登場したSF緑化工法は、足場から30〜40メートル先まで基盤材を吹き付けられる画期的な技術だった。親会社の須山建設を中心に、県内の建設会社10社で「静岡県SF緑化工法協会」を設立。技術者たちは、緑化に関する知識がなかったため、植物の種類、成長特性、土壌との相性などのすべてを独学で学びながら、200件を超える現場で経験と技術を積み重ねていった。
自然の表土を再現する団粒構造
SF緑化工法の最大の特徴は「団粒構造」と呼ばれる技術にあった。廃棄される木質チップや土壌改良材を活用し、自然の表土に近い基盤材を作り出す。この基盤材に肥料と種を混ぜて法面に吹き付けると、施工後3カ月ほどで緑化が始まり、植物の根が斜面を安定させていく。種の選定には細心の注意を払った。ヤマハギやイタチハギ等で根を深く張らせ、フェスク類の草本植物で浸食を防ぐ。富士山静岡空港の補強土壁では、ほぼ垂直に近い急勾配でも施工を成功させた。
2007年(平成19年)からは、部署に加わった新入社員と共に提案・施工を担当した。


養生マット工法への転換と多様化
2008年(平成20年)頃、パブリック技建は「多機能フィルター」の導入を開始した。特殊な不織布を使った養生マット工法である。法面に敷設するだけで、雨水によって地山に密着し、濁水の発生を防ぎながら緑化を実現する。この工法の強みは、吹付工法で培った調査力にあった。土壌の硬さ、pH、斜面の勾配や向きあらゆる条件を分析し、100種類以上のマット製品から最適なものを選定し、県内各地で約100件の施工実績を重ねた。
地域資源を活かしたエコスラッジ緑化工法
2009年(平成21年)には、新たな挑戦が始まった。SF緑化工法は高い評価を得ていたが、特許機械と専用材料が必要でコストが高いという課題があった。そこで開発されたのが「エコスラッジ緑化工法」だ。これには、静岡県内の浄水場で発生する汚泥と伐採材を混合した基盤材を使用。汚泥が粘土分を補い、理想的な団粒構造を形成する。市販のモルタル圧送機で施工できるため、より多くの業者が対応可能となり、廃棄物を再利用する地産地消の循環型工法として注目を集めた。まずは磐田市の浄水場で試験施工を行い、半年後には見事な緑化を実現。県内各地で約20件の施工実績を積み上げた。
時代とともに進化する法面保護技術
しかし、新設道路の減少や、災害対策の緊急性により、緑化工法の需要は徐々に減少した。そのため、当社では緑化だけにこだわらず、モルタル吹付や枠工などのコンクリート系の法面工事にも対応領域を広げていった。
それでも、自然環境への想いは変わらない。緑化工法は植物の力で斜面を安定させ、周辺の生態系と調和する。やがて自然に飛来した在来種に置き換わり、その土地本来の植生へと溶け込んでいく。「法面工事の目的は、こうして人と自然が共存できる環境を作ること。時代に応じた最適な工法を追求し、地域の山々を守り続けたい」。これまでに培った調査力と技術は、当社の多様な工法への対応力の基盤となり、現在も生き続けている。
