2003 クールベーブ
地域に 「 涼 」 を敷く
2003年(平成15年)、当社は静岡県内で初めて保水性舗装「クールベーブ」を導入した。
これは、陶磁器製造の副産物を活用し、
路面温度を最大15℃低減させるという画期的な技術に挑んだ挑戦の物語だ。
環境舗装への着眼
2003年(平成15年)、当時三代目社長は名古屋の舗装業者との交流の中で、ある技術に注目していた。路面温度を大幅に下げる保水性舗装「クールベーブ」である。ヒートアイランド現象が社会問題化し始めた時代、環境に配慮した舗装技術への関心が高まっていた。「静岡でも展開できないか」・・・社長は地域が異なるため競合にならないことを確認すると、すぐに技術提携を決断した。この判断が静岡県内で初めての保水性舗装導入という先駆的な取り組みの始まりとなった。
ゼロからの挑戦
しかし、導入は容易ではなかった。クールベーブの核となる素材は、瀬戸地方の陶磁器製造時に副産物として排出される微粒珪砂だ。この産業副産物を舗装の空隙に充填することで、雨水を保水し、蒸発時の気化熱で路面温度を下げる仕組みである。問題は、アスファルト合材の骨材の性質が異なり愛知県で使用している砂岩と違い静岡県西部で使用している輝緑岩は骨材の形が違うため、母体となる舗装体の保水材を充填する空隙率の調整が非常に難しく温度低減効果を大きく左右するものであった。そこで、社内の敷地を使っての実験が始まった。配合の調整、効果の測定、データの蓄積…試行錯誤の日々が続く。実験には、グループ会社の西部合材が持つアスファルト配合の知識と技術が活かされた。何度も実験を重ね、ようやく静岡の素材でも同等の効果を発揮できる配合を確立。路面温度を通常の舗装より約15℃低減させるという、確かな性能が実証された。
見えない技術との格闘
製品化には、もう一つの障壁があった。施工技術である。保水剤を均等に充填しなければ効果が薄れ、施工の良し悪しが見た目に直結する。通常の舗装以上に、高い技術力が求められた。現場で試験施工を重ね、人員配置や機械や道具を工夫し、民間の駐車場などで経験を積みながら、独自の施工ノウハウを蓄積していった。




公共工事への採用
民間での実績を積む一方で、浜松市などの自治体への提案活動も並行して進めた。環境への配慮、産業副産物のリサイクル、利用者の快適性向上…様々な角度からクールベーブの価値をPRした。導入から約半年後、ついに公共工事での採用が実現する。最初の公共工事は、浜松市南区役所周辺通路であった。浜松市の軽便道路の歩道では、景観にも配慮してオレンジと緑の2色で彩った舗装を提案し、採用された。さらに「はままつフラワーパーク」では、「来園者だけでなく植物のためにも路面温度を下げることが有益だ」という提案が評価され、広範囲にわたる施工を請け負った。
業界のパイオニアとして
2010年(平成22年)には、クールベーブの協会が設立された。パブリック技建は初期からの取り組みが評価され、立ち上げメンバーとして参加。数々のモデルケースを掲げ、業界の発展に貢献した。
次世代への技術継承
開発当初は環境意識の高まりから採用が増えたが、近年は物価高やコスト優先の傾向から、件数は減少している。それでも、当社が培った技術と経験は、確実に次世代へ受け継がれている。クールベーブは、パブリック技建の挑戦心と技術力の象徴だ。そして、この経験が次の新しい提案へとつながっていく。
